Kōtots Design
ローテク×イノベーション
動物の皮を利用して暮らしの用具を作ることは原始人類が手にした最初の工業技術と言えるでしょう。古来より現代まで針をつかって糸で縫い合わせる技法を受け継いできました。
Kōtotsプロダクトは糸や接着剤、両面テープなどほかの素材を介在することなく革端の切形状のデザインにより縫製品と同じく革素材を自在に造形することを可能にしました。
開発
Kōtotsプロダクトは紙器設計と縫製型紙、双方の経験が元となり生まれたアイデアです。どちらも作図した図を平面素材に写し、切り抜いて組み立てるという点で共通しています。二種類の設計、製作の経験のどちらが欠けても成立しなかったでしょう。
新しい技法の深化と製品開発の同時進行は困難の連続で挫けることもしばしばです。
手本がない中での試行錯誤が続きます。
デザイン
Kōtotsプロダクトはコバ(断面)加工の美しさや端正な手縫いステッチなど、手間をかけた職人的手仕事の結晶のような既存の革製品とは趣が異なります。
フォルムは極めてシンプルですが、道具として必要な要素を一つ一つ積み上げて完成したデザインです。
道具
財布の基本は収納物を適切に配置し都度スムーズに出し入れができることです。サイズやフォルム、色やテクスチャなどの要素が順に続きます。
デザインする側の意匠意図が優先され、それぞれのユーザーの使用状況を制限してしまうのは本意ではありません。生活道具の正解は使う人の手の中にあります。
革
兵庫姫路のフルタンニン鞣し染料染めの牛革を使用しています。ヌメ革ともよばれています。
KŌTOTSプロダクトは糸を使わず直接革同士を接ぐため、素材のしなやかさと剛性のバランスが製作造形する上でとても重要になります。
裏面は毛羽立ち防止の加工を施してあります。
造作に大きく関わる革の微妙な性質を素材選びの基本に据え吟味しています。
カラー
染料染めの牛革には、表面に生き物としての様々な痕跡が残っています。顔料染めのように色を均一に塗布したものでは隠される部分です。その痕跡を残したプロダクトには好みもあると思いますが、造形の特質を考慮して染料染めを選択しました。
強度
検査機関『カケン』のテストセンターによる孔凸の接合部分の引っ張り強度検査(JIS L 1093グラブ法)で、838Nという値が示されました。これは検査機関の定めるカバンの底の縫目の強度の基準150Nの五倍以上の強度を示します。
縫製では糸と革素材のバランスによって強度的に差が出る可能性がありますが、革同士の直接接合では革そのものの強度が数値に反映されます。
特許
針と糸を使わず複雑で自由な造作を実現する工法として特許を出願しました。
従来の技法や機器を使用せずレザープロダクトを製造できる新たな方法として今後さらなる発展と確立を目指します。
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